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ひとこと

 エオルゼアを楽しみつつもFF14やハイキューの創作を書き綴っていきたいと思います。

​ よろしくお願いします(*'ω'*)

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  • 執筆者の写真‐Grikettle‐ぐりけとる。

ダブピ組が被験世界オメガに飛ばされた話【ハイキュー×FF14】#1

うつらうつらと寝てしまいそうな夢見心地の良い春先の気温。 春の眠りに誘われ、滅多にうたた寝しない俺でも簡単にすやすやと木陰で寝てしまった。

それが喜劇であり悲劇の始まりだとは誰一人として思わない訳だよねー。

これから始まる物語は俺と二口くんがとある被験世界で「最強」を争う出来事に巻き込まれる話。

***

「ん……。」 俺が目を覚ますとそこは春すら感じられないような無機質な空間だった。 え、ここどこなの!? 先程まで木陰ですやすや寝ていたはずなのに。 誰かのイタズラ? それとも夢?

流石に夢だろうと思った俺はめいっぱい頬をつねった。するとその頬はヒリヒリと痛んだ。 痛みがあるお陰でここは夢じゃないと確認した。

夢じゃないなら現実って訳だけれど、ここは一体何処なの? パニックになった頭で考えているとゲームとかでよく聞くテレポート音が聞こえた。

音を頼りに振り返るとよく見かける人物……二口くんがこちら側に現れた。 ああよかった! 知っている人物が一人いるだけでここが地獄だろうとなんだろうと怖いものはないような気がした。 まぁ、我儘いえば岩ちゃんの方がよかったけど。

「二口くーん! ちょっと助けてよ」 手をひらひらさせながら二口くんを呼ぶとこちらに気が付いて走ってきてくれた。

「え、なんで及川さんがここに? というかここ何処ですか。なんですか。」 「俺も天才じゃぁないから分かんなーい。」 「何その皮肉は。」

皮肉じゃないもん。本当に分からないもん。

そう話してるとまたテレポート音が聞こえた。 もしかして岩ちゃんが来た……? そう思ったら実際来たのは全然違う人達だった。 白髪の、いかにも機械いじり担当のオッサンと金髪のチャラいオッサン、そして愛らしい黄色い鳥がいた。

「す、すみませーん……こ、ここは一体どこですか。」 「おいおいおい、お前ら記憶でも失くしたのか? 」 俺が先に聞こうと思ったが二口くんが金髪のオッサンに問い掛けていた。 流石二口くん。やるじゃん。

「そんな冗談はよせよニロ、そしてオイカワ。」

オッサン二人は呆れ顔をしていたが、そんなの正直どうでも良かった。 だって白髪のオッサンが俺達の名前を呼んだのだから。 この会話を聞くにこの世界には俺達似の二人が居て、それと入れ替わったって言うのが一番有り得そうだ。 実際のところはわからないけど。

そう考えていると黄色い小さな鳥がてんてんとこちらに向かってきてじっと目を合わせてこう声を掛けてきた。

「だ、大丈夫クエ? おまえらちゃんと戦えるかクエ? 」

「鳥がしゃ、喋った!」

鳥が喋るとは思わず二人で同じ事を口にしていた。 無理もない話、この世界は元いた世界とは違い、ファンタジーの世界だから鳥が喋ってもみんな驚かないのか? と考え込んでいると

「ぼく、アルファっていうクエッ! きっと君たちはこの世界で勝って勝って勝たないと元の世界に戻れないクエ。」

明るい声でアルファは俺たちに言ってきた。 勝たないと行けないということは死んだらゲームオーバーってことなのか? 少し気になったのでアルファに

「死んだらどうなるのアルファちゃん?」 と尋ねてみると、少しだけ考え込んだ後に口を開き 「きみたちは何かの加護のおかげで死ぬことはないクエ。ただヤケになって逃げ出すとオメガに殺されて二度と元の世界に戻れないクェ……。」

しゅんとした声でアルファは教えてくれた。

殺される? 酷い話だ。 ヤケになって逃げ出すと問答無用で殺され二度と元の世界に戻れない。 ただ、何かの加護によって敵の攻撃で瀕死になる事はあっても復活するっぽい。

「……オメガ、やってやろうじゃないか。」 「もちろんっすよ。命かかってんだから。」 俺たちは血に飢えた獣のような表情になりながら向かい合ってニヤリと笑った。

「おー、オイカワとニロ凄いやる気になったクエ! 」 アルファから賞賛の声が聞こえる。

「やるといったって、まず俺たちが使えるスキルとか全然分からないんだけど。」 「それはいまちゃっちゃと教えちゃうクエ!」

簡単にアルファから説明を受けた。 まず、ジョブによってロールとスキルが違うこと。 クラスは職業の意味、ロールとはこの世界での立ち回りの意味らしく、大きくわけて三つある。 高体力でガードは鉄壁、敵視を集めるのに特化したタンク。 高火力で敵を死滅させるアタッカー。ちなみに魔法職と物理職にわけられるそう。 最後に、回復とバリアなどで後方支援を得意とするヒーラー。

俺はヒーラーの三職と魔法職、二口くんはタンクの三職と物理職が扱えるそうだ。

ジョブによって大きな特色がありそれは使いながら覚えていけと言われた。 ただ戦闘中にもジョブを変更出来るらしいので慣れてきたらうまく切り替えつつ戦っていくといいと教えてもらった。

「結局は使えるスキルに差異はあるけど倒せばいいんだろ。」 「そうクエ。でも甘く見てると痛い目みるクエ! 」

少し長い説明に飽きてしまった二口くんはぶっきらぼうに言っていたが、すかさずアルファがツッコミを入れていた。

「最初はニロが鉄壁のナイトで、オイカワは攻守万能な赤魔道士の方がうまくいきそうだクエ。」 「おっけ。 きっと倒してみせるさ。」 「いつも以上にやる気っすか? 俺も負けてられないっすね。」

自分はアルファに言われた通り赤魔道士に、二口くんはナイトにジョブチェンジをして準備万端になった。

「お、話は終わりか? なら俺からも伝言だ。」 白髪のオッサンび伝言だと言われ俺と二口くんは首を傾げていると 「この世界にいる敵の情報は未知数なことが多い。ただ、わかり次第すぐ連絡する。いいな。」

情報は未知数……か。 そう言われるとなんだか烏野とバレーで戦う時と似ているような違うような感覚があった。

「了解。白髪オッサン。」 「ちょっと、二口くん……。」 「なっ、俺は白髪オッサンじゃない、シドだ!」

二口くんの言動を制止しようと思ったが時はもうすでに遅し。 白髪のオッサンは少し怒り気味で自分の名前を言った。 てか『シド』って無駄にカッコイイ名前じゃないか……。ずるいぞ! そんなの。

「すんません、シド……さん。」 「ほんと……お前ら記憶失ってんだな。」

シドは呆れ笑いをしてこちらを見た。 ただその目には俺たちを送り出す不安と期待が宿っていた。

「よし、アルファと共に行ってこい。そして、勝ってこいよ。」 「ああ。もちろんだ。」

二人で口を揃えてそう言うとアルファがクエッ! と鳴いた。 そして別の場所に転送されるような感覚が襲ってきて視界が一瞬にしてホワイトアウトしたのだった。






 

***





ホワイトアウトした視界から一転、ゆっくりと元の状態に戻ってくる。

 完全に物が見える状態で前を見るとそこには大きな列車が正面を向いていた。

 「え、ちょっと、これってどういうことか分かる? 二口君」  「正直わからないっす。 敵が列車とか意味不明……」

 まず初めに倒すのが列車だもん、訳が分からなくていいよね。うん。  そんなことを考えているとシドから連絡が来た。

「そいつは魔列車というやつだ。幽霊わんさか出てくるぞ」  「なにそれ……。怖いんですけど及川さん。」  「俺だって怖いわ!」

 正直幽霊わんさかって言う情報はいらなかった。怖さを煽るだけ煽って下手したら死んじゃうよ。うん。

 「そういえば、二口君てば工業高校だった……よね」  「そうですけど。それがどうしたんですか?」  「なにか手頃な職業があればなんだけど、魔列車分解して倒したらどう?」

 我ながらにしてひどい作戦だ。  分解して倒すとか流石にアレだろうと思ったが、こっちの方が得策かもしれない。

 「お、この世界のジョブに機工士ってのがありますよ。 工具もばっちり揃ってる。」  「行けそう?」  「まぁまぁかな。じゃ、タンク代理及川さん、頑張ってください!」

 タンク代理……? え、ちょっとまって。  俺はそもそもタンクジョブ出来ない出来ない。流石に赤魔道士ってチートくさいジョブでもすぐ死ぬし、ヒーラーなんてもってのほかだろ。

 色々と頭がアップアップになってついに  「二口君待ってぇぇぇぇぇぇ! 俺はタンク出来ない! 無理! 駄目だよ! 」  攻撃を仕掛けようとしている二口くんに向かって思い切り叫ぶ。  すると二口君は振り返って平然な顔をしながら  「え、及川さんヒーラーできるなら出来るでし ょ。 RPGゲーってヒラタンクあるあるですし」  と当たり前のことかのように言ってきた。

 そもそも何、ヒラタンクって。  ヒーラータンクの略くさいけど、どうやって攻撃に耐え抜くの? え、なんなのそれ?。

 「ヒラタンクってなんだああああ」  またまた攻撃を仕掛けようと試みる二口を俺は静止するかのように言ったら二口君はくるっと前を向き、大声で叫ぶ。  「自分に敵視もってって、死なないようにヒール連打してりゃいいんですよ及川さん! だから、俺に絶対敵視飛ばさないでくださいよ」  凄く因縁つけられたみたいでいい気持ちはしなかったが、たしかに言う通りかもしれない。

 自分にはノクターナルフィールドのモードに切り替え、アスペクト・ベネフィクでバリアを張り、コンバラという連続ダメージ攻撃を魔列車に食らわせた。  ぐえぇって声が聞こえたが取り敢えずそんなのは気にしないでマレフィガを打ち続けた。  ただ、時折来る魔列車の攻撃は異様なほど痛かった。  バリアを張っても数回の攻撃で消滅し、オマケに体力のは十分の一くらいのペースで減ってくる感覚がした。

 「ちょっと急いでよ二口君! 攻撃がッ……うおあっ……ちょ……にぎゃああああああ」  文句を言っていると背後から幽霊が現れぎゅっと俺を抱きしめ、それと同時に変な声も出てしまった。  一瞬だけ視界が暗くなる。

 「数カ所はパーツ剥がせたからちょっと黙ってくださいよ及川さん! って、幽霊に攫われた!?」

 そんな二口君の声も聞き取れるようであとあり聞き取れなかった。

 視界がはっきりし、辺りを見回すとどうやら客室の方に入ったようで1匹の幽霊が佇んでいた。  「げ、こんなとこにもいんだ幽霊……。」  「オマエ、シンドケ……。」  そう動揺していると幽霊が俺のカンに触れる事を口走った。

 「そういうお前が死んどけっての!」  カッとした俺は設置スキルのアーサリースターと連続ダメージ攻撃のコンバラを付与し、カードのドローをした。

 すると太陽のようなカード『アーゼマ』が浮かび上がった。  「アーゼマってなんだろ。でも今腹立ちすぎて頭回んないから取り敢えず投げてみるッ!」  俺は自分にカードを投げるとみるみると力が湧くようだった。

 「このままいけえええええええ!」  そう叫びつつなんとかマレフィガ連続詠唱で凌ぎ幽霊を倒してやった。  そして『ああ、アーゼマって火力グンと上がんだな』とひとつだけ学習したのであった。

 暗くてジメジメとした客室の空気とは一転、清々しい朝を迎えたように涼やかな空気を貨物台の上で吸っていた。

 「久々の外だーって、ん?」  「この変態冒険者ァ、正々堂々戦えやオラアアアア」  「え、魔列車って女の子だったのか!? 」  「へ? 」  状況が飲み込めずぼけっと突っ立っている俺に魔列車光線なるものに当たって即死級のダメージを受けた。  そしてあっさり瀕死の状態になった。

 ちなみに瀕死になって魂だけの存在になるとカメラみたいにいろんな角度から行動が見れて便利だったってことは読者の皆に一応伝えておく。

 二口君頑張れと小さく応援しているとてっぺんにある煙突が突然爆発し、よく見ると破壊されてるようにも見えた。

 爆発に巻き込まれないように華麗に宙を舞い、着地。  一瞬だけこちらを見つつドヤ顔をしてみせる二口君。  偶然か必然か知らないけどなんか胃がムカムカするみたいに腹が立った。  腹いせに幽霊でもアンデットモンスターでもなんか降ってこいと祈ったら予想以上のアンデットモンスターが降ってきた。  凄い、願ったら本当に出てきた。なんでもアリなのか、この世界は。

 なお、そのアンデットモンスターに嬲り殺され体力と防御力のない二口君はあっさり瀕死になってしまった。

 そう、一回目の攻略は失敗したのだった……。




***



 自動的に蘇生がかかりまた初めから始まることとなったが、ただひとつだけ違うことがあった。  それは何ヶ所か鉄板が外れ剥き出しになっていることがわかった。

 よくよく考えたら、さっきの事って、もしかしなくても二口君が分解を始めたからなのかと思った。

 「てか分解ってセクハラなの……?」  驚いた表情で二口君は口を開いた。

 ……やっぱり俺がさっき考え直したことと一緒だったんだ。

 「工業高校の二口君がわからないなら俺はもっと分からないよ。」  と俺は無表情で言い返した。

 そもそも魔列車が女の子とかよくわかんないし、あの破壊光線並の魔列車光線。  痛い。すごく痛い。  ついでだから言っとくけど殴られ続けながらヒールって頭相当イかれるわ。  よくほかの奴ってこういう事思いつくよな。  及川さんすごい感動しちゃう。

 「次は正攻法で行きますか」  「それが一番いいと思う! 正直ヒラタンクは辛かった」  笑って誤魔化しつつ俺は赤魔道士に職業変更をした。  そして二口君はナイトに変えていた。

 「よし、及川さん2度目行きますよ」  「おっけ、火力で押し込んでみせるから。」

 俺は二口君と顔を見合わせてコクリ頷き今度は「ジョルラ」を唱え始めたのだった。


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